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ゴッドハンドと呼ばれるアンプ復刻師の珍道中日記
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私の仕事
テクニクスA-1

前の記事でデジカメが盗難にあってしまったことを紹介しました。
しばらくは残っている写真で記事を書きますね。

上の写真はTechnics SE-A1の上部カバーを外した写真です。受注生産で1977年発売です。
価格は100万円。重量はなんと51Kg。二度と発売されない代表的なアンプのひとつです。

このアンプのレストアを依頼されたのであります。引き受けたのは良いがなんとこれが自爆行為と
なるのであります。

最初の難関は
Technics A-1はClass A+という回路形式が解らない。
回路形式が解らない上に回路図がない。

この二点です。実は私は擬似A級に関してはかなり勉強したつもりでした。Technics Class AAに
関してはかなり資料があるようです。しかし、A+に関して資料は殆ど見つからなかったのです。
A-1-2.jpg
上から写真を撮っていますので大きく見えませんが、実際はとても大きいアンプです。
重量の51Kgは私にとって限界の重量です。

テストでは歪みだらけの音や音が途切れるなどアンプとしては使い物にならないものでした。
甘く見ていたのが間違いでエンドレスと思われる作業になってしまいました。
修理ではなくレストアですから音が出れば良いという作業ではありません。
A-1-3.jpg
上から見ると大きなトランスと電解コンデンサ、放熱器などが見えています。高さから引き算しますと
増幅部分は大した大きさではないだろうと思われますが、底から分解しますと、なんと三階建に
なっているのであります。上の写真は三階部分です。多くのコネクタで基板と結ばれております。
A-1-5.jpg
三階部分の基板を外した写真です。お時間のある方は全てのコネクタの数を勘定してください。
ひーふーみとかアンドウトロワとかイーアールサンスーでは混乱する方が多いので注意してください。
また、手の指足の指をフル活用しても不足しますのでご注意ください。

コネクタは50個以上あります。そのコネクタのピンを全て磨くのでありますから、この作業でも
一日以上かかります。レストアと修理では手間が全く違います。皆さん!ここまで分解し
全てのピンを磨き接点復活作業をした場合、いくらお金を払っていただけますか?
A-1-4.jpg
上の写真は二階部分です。
中央に電源基板があり、その左右に三階部分を覆っているカバーが左右にあります。カバーはネジ止めです。
A-1-6.jpg
一番上が三階部分の保護回路等が入っている基板で三枚並んでいる中央が二階部分の電源基板、そして
その左右が一階の増幅器版です。写真では電解コンデンサがオーディオ用のものに交換されています。

ここからが重要です。電解コンデンサをオーディオ用に交換して全てのコネクタを取り付けながら基板を
ネジ止めしテストしましたら、、、問題は全く解決されておりません。当たり前です。私は取り外した部品は
全て測定します。取り外した電解コンデンサに不良は全く無かったからです。

テストしているうちに新しい問題を発見しました。入力を切り替えるとピークメーターが一瞬大きく振れます。
300W近く迄振れます。瞬間ですからプロテクト回路は動作しません。このアンプの定格出力は350Wなのです。
もしもスピーカーを接続していたらボイスコイル断線事故に直結します。このような大出力アンプでは
一番大きな問題点です。この大きく出力されている周波数によりツィータだけ断線したりケースにより
破損の状況が異なることになります。

何度かテストしているうちに、、、、
A-1-7.jpg
写真をよく見てください。上から三番目のヒューズがわずかに切れております。ピークメーターでは
300W程度でも瞬間的に大出力が出ていたことがわかります。これは最悪の状況を意味します。

つまり、この問題の根本原因を解決しない限り、、、
一階部分の基板のネジを外す
一階部分のコネクタを外す
二階部分の電源基板をネジを外す
二階部分のコネクタを外す
二階部分の片側カバーを外す
ヒューズを交換する
二階部分の片側カバーを取り付ける
二階部分のコネクタを取り付ける
二階部分の電源基板をネジを取り付ける
二階部分の電源基板をネジを取り付ける
一階部分のコネクタを取り付ける
一階部分の基板のネジを取り付ける
A-1-8.jpg

このアンプは入力2系統の切り替え、ミューティングSW、DC-LOWCUT SW、が付いております。
これらの多くのリレーを介して電子的に行われております。更に大出力アンプの入力切替の
ノイズでスピーカーを破損しないように切替時に瞬間的に音を小さくし切り替え後音を大きくする
フェードイン/アウト機構が装着されております。

写真では4系統のスピーカーが独立して音量調整が出来る切り替えスイッチがあります。
また、ヘッドホン端子とその音量調整ボリュームが有ります。これは新しい問題として
片側から音が出ていないという問題も出てきました。

2枚上の基板を並べた写真では一部リレーの交換をしております。
一階部分の基板のネジを外す
一階部分のコネクタを外す
二階部分の電源基板をネジを外す
二階部分のコネクタを外す
二階部分の片側カバーを外す
ヒューズを交換する
二階部分の片側カバーを取り付ける
二階部分のコネクタを取り付ける
二階部分の電源基板をネジを取り付ける
二階部分の電源基板をネジを取り付ける
一階部分のコネクタを取り付ける
一階部分の基板のネジを取り付ける

そしてテストする。何度かのテストの上ヒューズが切れる。
一階部分の基板のネジを外す
一階部分のコネクタを外す
二階部分の電源基板をネジを外す
二階部分のコネクタを外す
二階部分の片側カバーを外す
ヒューズを交換する
二階部分の片側カバーを取り付ける
二階部分のコネクタを取り付ける
二階部分の電源基板をネジを取り付ける
二階部分の電源基板をネジを取り付ける
一階部分のコネクタを取り付ける
一階部分の基板のネジを取り付ける

リレーじゃぁなかった。(;_;)
このリレーは松下製で普通ではないのです。写真でも分かる通りこの部分の回路を解析し、
代替リレーを取り付けました。勿論接点性能は良いものです。

リレーには必ずコイル通電時にノイズを防止するためのダイオードが付いております。
これも全てのリレーのダイオードを交換しました。
一階部分の基板のネジを外す
一階部分のコネクタを外す
二階部分の電源基板をネジを外す
二階部分のコネクタを外す
二階部分の片側カバーを外す
ヒューズを交換する
二階部分の片側カバーを取り付ける
二階部分のコネクタを取り付ける
二階部分の電源基板をネジを取り付ける
二階部分の電源基板をネジを取り付ける
一階部分のコネクタを取り付ける
一階部分の基板のネジを取り付ける
A-1-9.jpg
この部品はなんだかわかりますか?フォトカプラーといいます。
フェードイン/アウトに関連した部分です。右側がオリジナルのフォトカプラーです。2個の特性を測定しましたら
特性が大きく異なります。どうやらこれが怪しいと左右を入れ替えましたら、、、、なんと
大出力が出なくなったのです。フォトカプラーを勉強しなんとか使えそうなものを入手したのが
写真の左側です。

交換の前にもう一度テスト。10分後、、、、なんと不具合が再発!

だいたいアンプにフォトカプラーなんて使うなよ。大出力アンプはB-1のように入力は一系統でいいんだよ!
そうすりゃぁフェードイン/アウトなんかいらないんだっ!、、、、とこの辺から怒り爆発!
A-1-10.jpg
増幅器基板の入力部分の写真が見つかったので掲載しておきます。フォトカプラー、リレーが見えていますが
実は入力に関するリレーはこの部分だけではありません。全てのリレーを取り外しチェックしております。
この写真は片チャンネル部分のみです。これが両チャンネルありその他に入力基板に5個のリレーが
別にあります。

さて、ここまで、、、、、、、全ての問題は全く解決していないのです。

ちょこっとA-1の記事をつくろうと思いましたが、また長くなってしまいました。
A-1を入手して自分で何とかしようなどと思わないでください。
その理由はこの後の記事を読めばわかります。

A-1-11.jpg
リレーでもなくフォトカプラーでもないならスイッチなのでしょうか?
ならば3個のスイッチをこのように。
松下さん!ALPSさん!36年経過したスイッチの接点はこのようになっていますぞ。
A-1-12.jpg
そしてテストし、、、、ダメです。
省略しますが、またヒューズを交換し、、、、、(;_;)
スイッチも良くなった。リレーも交換した。電解コンデンサも交換した。しかし、不具合は全く問題解決
されていないのであります。

ここで依頼者の方に「出来ませんでした」とブン投げれば全てがパァなのであります。
電解コンデンサが原因なんてのは全く期待していない。経験上一部の機種を除いて日本製の電解コンデンサは
大変優秀であることは承知しているのです。今まで取り外したトランジスタ、電解コンデンサは
全て測定している。

私より優秀な方は多く存在していると思います。しかし、30年、40年経過したパーツの劣化状況を
把握しているかどうかについては自信がありますぞ。トランジスタがショートしているものについては
全て捨ててしまった。ショートしているのだから保管しても意味が無い。それ以外外したトランジスタは
全て保管している。つまり後になっても検証できるのです。電解コンデンサも同様で数えきれない程の
電解コンデンサも保管しているのです。トランジスタや電解コンデンサについてはそのうち記事にしましょう。

さて、今までかなりの時間を費やして未だに問題を解決できないでいたわけですが、このアンプの
概要は理解出来ました。実は最初に上部カバーを外した時に頭の上に電球が点灯したのです。
大出力用の大容量電解ブロックコンデンサ低出力用の大容量電解ブロックコンデンサが
合計6本見えました。はは~ん。これはYAMAHA A-2000の大型版である。

「スイッチング歪とクロスオーバー歪が発生しない低出力A級増幅パワーアンプの電源の中点をフローティングし、
別に独立した電源アンプで信号の出力増幅に追従するようにA級増幅アンプの電源中点をドライブするという
2段構えの構成。」

このアンプは1977年発売、、、、YAMAHA A-2000は1983年発売。1977年Technics Class A+と
YAMAHA DUALAMP CLASS Aとの関連性がよくわからない。YAMAHAアンプを多く手がけている私としては
YAMAHA A-2000がYAMAHA独自の回路と思っていたので、6年も前に同様のアンプが存在している事を
知らなかったのである。両アンプとも回路図を所有していないので、同じ回路方式かどうかは
不明です。しかし、基本的な考え方は同じでしょう。

原因がわからないまま、覚悟を決めてレストアします。
A-1-14.jpg
A-1-15.jpg

これが小出力大電流A級アンプの出力部分です。なんと片チャンネル16個もあります。両チャンネル32個
です。A-2000が8個ですからなんと4倍も数があります。
A-1-16.jpg
A-1-17.jpg
基板、放熱器など全て洗浄し放熱マイカのグリスを丁寧に拭き取り放熱グリスを再処理したのが
上の写真です。写真ではわかりにくいかもしれませんが、とても綺麗になっています。32個もありますから
とても時間がかかりました。

三階部分のICやTR,電解コンデンサなど交換できるものは全て新品にします。
電源基板も同様です。

A-1-18.jpg
これが増幅基板です。だいたいの回路を解析します。重要なのは半固定ボリュームが大変多いので
どんな役目をしているのか知らなくてはいけません。高級なアンプほど半固定ボリュームが多く
初期値に設定を戻しやすくなっております。

さぁ、みなさん!ここからです。私の粘りは!
この基板のすべての部品を抜き出し、全て測定します。ダイオード、スチコン、フイルムコンデンサ、トランジスタ、
半固定ボリューム、抵抗一本一本測定します。最初はこのようなことをする予定は全くありませんでした。
A-1-19.jpg
熱結合部分するために金属ケースに入れられた重要な差動アンプ部分ですが、金属ケースを外し
トランジスタを抜き出し測定します。ダメですね。不良ではありませんが特性がずれてしまっています。
私の作業場にある測定器は高級なものはありません。特徴的な事は半導体の測定器が多くあります。

テクトロニクス製 カーブトレーサー 576
國洋電気製 カーブトレーサー  私自身が修理したもの 真空管とトランジスタのハイブリッド製
國洋電気製 ユニバーサルチェッカー かなり大型 1A迄測定可能 手動 hFE 500迄測定可能
國洋電気製 オートチェッカー   3mA 20mAで測定可能 自動 hFE 500迄測定可能
リーダー  トランジスタチェッカー 1mAで測定 形はオリジナルだが中身は私が改造した全くの別物
                  hFE1000迄測定可能
松下製 トランジスタセットアナライザー  (移動測定、電池で使用可能)

その他にオシロスコープ3台、LCRメーター2台、歪率計2台などです。オシロスコープ3台のうち
2台は超小型です。もう1台は菊水製です。この菊水製のものも故障しましたが修理することが
出来ました。LCRメーターはESRも測定できて周波数も4種類で測定できます。テスターは
アナログ1台(日置)、デジタル2台(岩通、HP)で古いものです。
たいへん半導体測定に偏ったラインナップです。

ユニバーサルチェッカーは出力トランジスタを測定します。1Aまで測定できます。手動ですからゼロ調整を
行うのでちょっと面倒です。ダイオード、SCRなども測定できます。

オートチェッカーは大変便利で測定時にガチャガチャガチャとリレーの音がします。大変便利で
ほとんどのトランジスタに使用可能です。

トランジスタチェッカーはローノイズ高hFEのトランジスタに使用します。2SC1775AFなどhFEが1000
近くにも達するものがあります。このようなトランジスタは初段部分の重要なポジションに使用される
ことが殆どですので出来るだけ正確に測定したいものです。また、ローノイズ高hFEトランジスタは
特性の変化が多く見られる部分ですのでカーブトレーサーと併用して厳密にチェックします。

カーブトレーサーはV-FET、FETなどの測定のほか代替のトランジスタ研究用です。
gmなども直読できますから大変便利です。2個の半導体を切り替えてドンピシャ特性を
合わせて選別できます。

FETのIDSS測定、定電圧ダイオードの測定に使用する定電圧発生器などもあります。

良いアンプを作るためにはきちんとした半導体の使用が不可欠です。
本来からずれてしまっていても多くの負帰還をかける半導体アンプでは静的な歪率を測定しても
最高の状態とはなりません。逆に出来るだけ揃えるべきところはドンピシャリ揃える、
使用目的に合わせてより良いものを使用するという考えをすれば良いものが出来るのでは
ないか、、、、という考えです。

トランジスタを交換すると本来の音でなくなるから交換しないほうが良い、、、、というのは
間違いです。これは断言できます。ただし、いい加減な交換では意味がありません。

例えば写真のように2個のトランジスタが本来両方共600のhFEがあったとします。
36年経過した今現在600と350に変化している状態です。これを交換しないほうが良いという
考えは理解できません。「半導体は永遠に特性変化しない」などはありえません。

環境温度、消費電力など様々な要因で劣化していきます。製造技術などもあるかもしれません。
取り外したトランジスタで在庫しているものは数万個(数えたことがないので不正確)あると思いますが
初段部分に関してはかなりばらつきが見受けられます。ローノイズ高hFEトランジスタは
他の部分に比較し丈夫ではありません。

そのトランジスタがどのような目的で使用されているかを判断し、最適なものを見つけていきます。
互換表を見て交換するのではなく、例えば定電流に使用されているものであれば電流特性を
カーブトレーサーで確認していきます。

意外に増幅そのものに使用されているトランジスタ、FETは少ないのです。例えばYAMAHA B-1などは
多くのトランジスタが使用されていますが、増幅そのものはYAMAHAオリジナルFETで行いその他の
トランジスタは定電流動作や保護回路、電源回路などに多く使用されております。
増幅回路は意外にシンプルなのです。

600が350に変化する、、、、、これは将来的に不良となる可能性があるということです。
350が300に、、、、そのうち200に、、、そしてプロテクトがかかる、、、、
600が350で気づかなくてもあれれ、、なんとなくノイズが、、、、スイッチオン、オフ時に
ボツッという音が、、、、おれれ、、、音が出なくなったぁ(;_;)
皆さんは音が出なくなって故障だと思うでしょう?実はそれ以前に正常ではなくなっているのです。

私が6台のトランジスタ測定器を使用するのも良いアンプの条件として正常な半導体使用を
最優先するという考え方があるからです。どれだけ交換するかは依頼者の予算次第です。
ただ交換するだけではない、、、、外したものを測定し取り付ける場合も全測定する、、、
これは全てに行います。抵抗、コンデンサ、ダイオード、トランジスタなどです。

1mAと3mAで測定した場合全く測定値が異なっているトランジスタもあります。同じ型番
同じhFEランクで1mAで20、3mAで150でもう一個は両電流で160という数値だったりします。
ですから電流を変えて測定することも必要になってきます。型番を見ればどのような目的で
使用されているかは想像できますので1mAで20のものは使用しないなどと判断します。
ちなみにこのトランジスタの規格表には2mAで電流値が掲載されておりました。なんで
真ん中なのよ。規格表からは正常です。回路上からは2mAより少ない電流でした。
このような事例がありますから必ず測定する習慣になってしまいました。

話が横道にそれてしまいました。このA-1の増幅基板をレストアする事は費用と多くの時間を
要します。サービスマニュアルがありませんのでたいへんです。まず半固定ボリュームを
外した際に全て規定値のメモをとります。例えばこんな感じです。
VR401 50KΩ 実測47.2K 37.1K 35.6K
VR454 1KΩ  実測1070Ω 520Ω 757Ω
なんだこりゃぁあ(;_;)
50Kが47.2K、、、、別に、、こんなことはよくあることで問題ない。
問題は可動端子から測定した両端子37.1と35.6の合計は72.7KΩで47.2Kと大きくずれている。
ぴったり一致しなくても近似値にならなくてはいけない。差は25.5KΩ。
VR454も同様で1番端子と3番端子は1070Ωなのだから2番と1番、2番と3番の合計値1277Ωとの差
207Ωは接触抵抗なのである。

全ての半固定ボリュームは不良だった。ちなみに新品の高級品はだいたい合計が近似値になった。
さぁ、たいへんだ。このアンプは半固定ボリュームを全て交換しなくてはならないということが
わかった。アンプの動作点は大幅にずれていることが予想される。抵抗値が大きいVRほど
問題が大きい。COPALのRJシリーズに交換した。

このアンプには多くのバリスタが使用されている。これも全てチェックした。
基板上のトランジスタは一部を除いて交換した。小電力トランジスタは全て交換。
抵抗は一部交換。
これらの作業中にもしかしたら、、、と原因が頭のなかで特定できたような気がした。
歪の原因は調整値のズレと一部トランジスタの劣化かもしれない。しかし、入力切替時の
大出力は、、、、、。スピーカーをつないでノイズを聞くことは出来ない。耐入力400Wなどという
スピーカーは所有していないのです。

全ての作業が終了する直前、、、、ある部品をチェックした時、、、、これだ!たった一個の
この部品のために、、、、、

頭のなかで予想していた原因は的中した。入力切替時に瞬間的に発振していたのである。
その発振は瞬間的で切り替えが終了すると収まるのである。常時発振となればプロテクトが
かかるしオシロスコープで簡単に判断できる。常時発振の原因は特定が比較的容易。

このような文章を読んで「そんの最初から発振に決まってんだろ」という人が必ずいる。
しかし、自信を持って言いますぞ。このアンプの入力切替時ノイズを最初から発振だと判断できる人は
いないのです。さらに発振だとわかってもこの部品が悪いといきなり特定できる人も
いないでしょう。

サービスマニュアル、回路図が無い環境ですが、それらがあったとしても不良部品の特定は
難しいものです。それはまるで推理小説を読んでいるようなもの。犯人をどんどん追い詰めていく
のです。「もう逃げられんぞ200人の容疑者のアリバイは証明されたぁ、残るはお前一人だぁ!」

あの~(;_;)できれば201人のうち最初の3人位で犯人が見つかってくれれば、、、と思うのは
私だけではないでしょう。でも大抵の場合はこんなものです。フゥ、、、完成した基板を
取り付けたら、、、、バンザイです。見事に現象は消えました。数多くの部品交換で
歪率は大幅に減少して全く問題ない数値となりました。

喜ぶのはまだ早いのです。片方の基板をレストアしてもう片方はしないというわけにはいきませんので
同じことを作業します。このアンプはヘッドホン専用アンプを搭載していますので
片方の音が出ないという問題も解決するはずです。

両基板が完成しました。ヘッドホンからもたいへん良い音が出ています。そして次の問題に
取り掛かります。この数多い調整ボリュームは何であるか?VRを外した時にすべてメモしてあります。
正常だったらどのポジションにあるかという計算をします。これで仮付します。

これはA級アンプのバイアス調整なのね、、などと一個一個分析していきます。
このアンプを最初に通電した時は熱が出ておりませんでした。調整しましたら
A級アンプから強烈に発熱しております。つまりA級アンプが動作していなかったのです。
内部の清掃や外観を整え完成となりました。

長い長い道のりでした。結局、この希少なアンプを完全にするためにはちょこっとの
作業では全くダメなのです。最低でも(発振がなくても)全ての半固定VRの交換と
トランジスタの測定交換は必要であることがわかります。これは他のアンプでも同じです。
大出力アンプですから入力VRのノイズがあってもいけません。スピーカーの破損に直結します。

ここに書ききれない程の作業をしています。メモを見ますと抜き出した全てのトランジスタの
実測値が書かれています。コネクタもこれはA級アンプ電源、これはA級アンプ信号などと
全てではありませんがかなり苦労して分析したあとがあります。このアンプが残っている
台数はかなり少ないでしょう。なにしろ受注生産ですからね。
もう作業することは無いと考えられます。

依頼者のもとで快調に動作しています。ブロックコンデンサは良品ですから比較的
長く使用できるのではないでしょうか。ブロックコンデンサがダメになったら工夫して
交換しましょう。希少な一台の復活です。

このアンプが故障しても、、、多分復活出来るだけの知識はついたと思います。
しかし、商売にはありません。ここまで作業したのは意地だけです。運が良かったのは
依頼者の方が私をとても理解してくれている方だったということです。

この51KGという重量、36年前に100万円というアンプをきちんとした状態で
音を聞きたいのなら覚悟が必要です。レストアを依頼する方の覚悟(費用)、受ける方の
覚悟(出来なかったらどーしーよ)どちらも必要なのです。YAMAHA B-1なども
同様です。B-1は別の意味があって失敗するとV-FETが破損します。

今回のA-1はメーターランプは全く正常で調整のみとしました。故障したら別料金で
メーターランプのレストアをすることにしましたが、宅配便で送ることが出来ないアンプです。
完成後お届けしましたが、重いのなんのって。車に積むだけでもたいへんです。
色々大変なアンプですが復活出来たのを嬉しく思います。おしまい。


このような大出力アンプは出力段に100V程度の電圧がかかっています。ドライブ段には
それ以上の電圧がかかります。作業してテストするときなどには一回ごとに必ず電解ブロックコンデンサの
放電をしなくてはいけません。感電や短絡などの事故につながりますから十分な知識がある人以外は
ちょこっといじくってみようなどとは思ってはいけません。電源トランスは十分な電流容量が
ありますからショートすると金属が溶けるほどの事故になります。

今回紹介したのはA-1を入手しましょうなどとおすすめするものではありません。
古いアンプの問題点を紹介しました。トランジスタは劣化するものであり、半固定VRも問題がある。
企業秘密で発振の原因のパーツは紹介しませんでしたが、たった一個の部品でアンプは使用できなくなる
という事をご理解ください。

もしも私がA-1のレストアを依頼されたら、、、、、次はたくさんのお駄賃をいただきます。
あしからず。



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